呪いのブレスレット
校則が緩いこの学校で髪をカラーリングしていないのは、ひかりぐらいなのでは? と思うほど艶やかな黒髪。

あごのラインで切りそろえられたボブは日本人形を思わせる。

そのスタイルは出会った小学校1年生の入学式から変わらない。

友人たちの色に染まらない彼女。

その理由は彼女の家にある。

祖母が日本舞踊の家元であり、彼女自身小さい頃から習い、作法、身だしなみと、厳しく育てられた環境のせいだった。
 
お嬢様である彼女が私立の高校ではなく、市立の高校を選んだのは幼なじみのあたしと同じ高校へ行きたいと望んだから。

「ん? どうしたー?」

「……あのね?」

イチゴヨーグルトをパクつくあたしに、ひかりはためらいがちに話しはじめる。

「私、好きな人がいるの。それで……今日、手紙を渡そうって……」

辺りを見回してから、ひかりは両手を口に囲むようにして告白した。

左手首につけたローズクォーツの天然石で作られたブレスレットが蛍光灯の下、キラリと光る。

半年ほど前からひかりはこの天然石のブレスレットをかかさず身につけている。

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