今も。これからも。ずっと、きみだけが好き。

陽菜のお守り(歩夢side)

 試合会場の体育館に入ると、人がごった返していた。

 都道府県と高校名を背中に背負ったユニフォーム姿の選手達が目に入る。
 制服や私服姿の中高生やら、子供、大人、さまざまな年齢層の人たちがホールの中を行き交っているその中を縫うように2階の観客席に上がって行った。

 全体を見回してみると、満席というほどではないけれど、程よく埋まっていた。

 僕は壁にFと記された場所の真ん中あたりに腰を下ろす。

 団体戦はすでに雌雄を決して、今は個人戦ダブルスの試合中。


 スマホを取り出して陽菜にメール。

 来てくれるかな?


 そわそわと落ち着きなく何度も後ろを振り返って、陽菜が来てくれるのを待った。

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