Doll‥ ~愛を知るとき
†06 愛憎
現実を受け入れることが出来ないまま、一週間が経った。
退院は無理だと判断され、あたしは今も病院にいる。
あの日以来、夫だと名乗る浩也(ヒロヤ)は、毎日 愛翔を連れて面会に来る。
あたしが受け入れようとしないからか、愛翔は あたしを敬遠している様子で
「愛翔、ママに抱っこして貰うか?」
浩也が声を掛けても、首を横に振るだけ。
あたしも自分から話し掛けたり出来なかった。
「愛波、なんか欲しいもん無いか?売店寄って、外でタバコ喫うて来るわ。」
受け入れる気なんか無い。
けれど、一生懸命に気遣ってくれる浩也に、ほんの少し好感を持ち出しているのは事実。
「リンゴジュース‥。」
答えて、あの夜を思い出した。