Doll‥ ~愛を知るとき
†03 哀音
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薄暗い部屋に、ひとりの男が座っている。
─ 誰だっけ‥
あたしは、その男を不思議な気持ちで眺めている。
「エナ、こっち来いよ。」
顔がよく見えない。
悪い予感がして
「イヤだ‥。」
すぐそばにある部屋に飛び込んだ。
「エナ!開けろ!エナ!」
押さえ付けた扉がガタガタと揺れてる。
開けちゃいけないって、脳が危険を感じている。
だけど、力いっぱい押さえた扉が勢い良く開いて、投げ付けられるように反動で床に倒れた。
ハァハァと荒い呼吸が聞こえる。
咄嗟に顔を上げた。
鈍くギラ付く包丁が見えた。
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