失恋のち恋



「ひなちゃんの手、冷たい……」


「俺があっためてあげる」



勝手に私の手を取り、自分の手を交差させる。



所謂、恋人繋ぎ……




「ねぇ、ひなちゃん!ひなちゃん!」


「もう、なによ!」



彼の方へ振り向いた瞬間、触れる柔らかな感触……



彼に唇を奪われた。



一旦、脳が思考を停止する。



「ごめん。嫌だった?」



申し訳なさそうな彼の表情が今井くんと一致した。


彼と交わした行為が脳裏をよぎる。



「もっと、して」



再び塞がれる唇。



消して……

消して……


今は、まだ思い出したくない。



< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop