淋しいお月様
とっておきのラブソングが嬉しい
「森林公園へ行こう」

セイゴさんが言い出した。

遊園地に行ってから一週間後のこと。

私の仕事の休みに合わせて、セイゴさんはそう提案した。

セイゴさんの作ったお弁当を持って、背中にはギターを背負って、私たちは公園へと来た。

森林公園には、大きなスケールの遊具があった。

昔、手にマメができるまで、ターザンロープで遊んだっけ、なんて思い出していた。

「東京にも、こんな緑の綺麗なところ、あるのね」

「そうだよ。東京都一辺、街じゃないよ」

私たちは、遊具のコーナーをスルーして、大きな芝生のある位置へと移動した。

平日の昼間、そんなに人はいなかった。

バレーボールをしている、大学生らしきひと。

木によりかかって、読書をしているスーツ姿のひと。

ベビーカーを引き、散歩をしているお母さん――などが見受けられた。

私たちは、芝生ゾーンの端の方に腰を下ろした。

「いい天気」

私が云うと、セイゴさんは手で庇を作り、太陽を見て「日頃の行いがいいからだ、うん」などと頷いた。

「明日から、仕事大詰めだ」

セイゴさんは芝生に大の字に寝転がった。
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