淋しいお月様
風邪ひいて優しくされて嬉しい
お兄さんのワゴン車に乗せられ、ほどなくして車は止まった。
「ついたよ。歩ける?」
私は力なく頷く。
人前でおんぶは恥ずかしい。
朦朧とする意識の中でも、そんな感情を覚えた。
それを知ってか知らずか、お兄さんは私の背中を支えるようにして歩いてくれた。
小さな個人病院のドアを開けると、消毒液の安らぐ匂いがした。
「ちょっと、熱あるみたいなんですけど。それから、咳とくしゃみと、喉が」
彼は私に代わって、受付をしてくれる。
「じゃあ、ちょっとお熱測ってみましょうか」
受付の窓口の看護師さんはそういうと、体温計をよこしてきた。
「ほら、座れる?」
お兄さんが体温計を受け取ると、私をレザーの黒い長椅子に座らせてくれた。
私はゆっくりと腰を下ろす。
そして体温計を脇に挟んだ。
「保険証はあるかしら?」
「ああ……はい」
私は財布から保険証を出し、看護師さんに渡した。
「ついたよ。歩ける?」
私は力なく頷く。
人前でおんぶは恥ずかしい。
朦朧とする意識の中でも、そんな感情を覚えた。
それを知ってか知らずか、お兄さんは私の背中を支えるようにして歩いてくれた。
小さな個人病院のドアを開けると、消毒液の安らぐ匂いがした。
「ちょっと、熱あるみたいなんですけど。それから、咳とくしゃみと、喉が」
彼は私に代わって、受付をしてくれる。
「じゃあ、ちょっとお熱測ってみましょうか」
受付の窓口の看護師さんはそういうと、体温計をよこしてきた。
「ほら、座れる?」
お兄さんが体温計を受け取ると、私をレザーの黒い長椅子に座らせてくれた。
私はゆっくりと腰を下ろす。
そして体温計を脇に挟んだ。
「保険証はあるかしら?」
「ああ……はい」
私は財布から保険証を出し、看護師さんに渡した。