蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~
20 【決意】
「俺に話って、何ですか?」
拓郎ははっきり言って、緊張していた。どうしても、柏木に聞きたい事があった。
「君だけに、話がある」と柏木に呼ばれてきた別室である。柏木個人の部屋だと言う。
「簡素な――」と言っていい程、何もない部屋だった。
あるのは、机と本棚と応接セットだけである。そしてその大部分を占めるのは、本だった。
「まあ、取りあえず座りなさい」
促されるまま拓郎は、ソファーに座る。
思い詰めたような顔をしていたのだろうか。
インスタントのコーヒーを入れながら、柏木が苦笑した。