蒼いラビリンス~眠り姫に優しいキスを~

2-少女たち


その部屋はまるで、幼稚園か託児所かと見まがうほど、雑多なオモチャや遊具、絵本といった物の山だった。


その中程に、保母らしき中年の女性が一人と二人の少女――。


いやむしろ『幼女』と言った方が良い幼い子供が、仲良く遊んでいた。


五、六才位だろうか、ひときわ目を引くのは、その二人の容貌だ。


漆黒の髪と、金色にも見える色素の薄い茶色の、腰まで伸びた長い髪。


抜けるように白い肌。


そして何より、その子供達は、全くと言って良いほど同じ顔をしていたのだ。


髪の色が同じであれば、おそらくは見分けなど付かないだろう。


――まるで、色見本だな……。


妙な感心の仕方をしながら浩介は、ここまで案内をして来た衣笠に尋ねる。


「ここは、職員の託児所か何かですか?」 

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