その手に触れた恋
毎日撫でてね・・・
「痛いよー・・・。」私は必至だった。

ほんの数か月前まで何にもしらない地味な女だったのに・・・

もうこんな展開を迎えている。

母になるなんて。

出産だなんて・・・。

実家の母は泣いていた。

「ごめんなさい・・・お母さん」

私も泣いた。

でも

母は今も隣で見守ってくれているの。

馬鹿な娘?

頼りない娘?

いや。

私は、ヒデくんとこうして愛し合ってできた子供を

今産む、決心をした。

「ヒデくん・・・」

それから陣痛との闘いは1時間ほど。

私は汗と涙で

シーツはぐしゃぐしゃになってしまった。

「はぁ・・・もうダメ・・・っ」

そう思った瞬間・・・

その産声に私はハッとなった。

「産まれましたよ」

ぷっくりとしたその体。

頬もぷっくりと、いい顔してて・・・

「男の子です」

助産婦さんからそう言われて我が子を抱く私

「ふえ~ん」

私も赤ちゃんも

涙が止まらなかった。
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