胡蝶蘭
嵐の夜




それはある嵐の夜の出来事だった。



じめじめとした梅雨の時期。

ダンス部に所属するあたしは、
夏の地区予選に向けて仲間とみっちり
部活終了時間である七時半まで部活をしていた。


そして練習が終わったあと、
自転車をこれでもかというほどとばし、
高校から一番近い駅に行き
7時37分の電車に予めお昼に売店で
買っておいたパンやらおにぎりやらを食べながら乗り込む。

7時53分、
自分の最寄りの駅についた瞬間またまた
これでもかというほど走り、
あたしの住む住宅街とは反対方向の
繁華街に向かう。


7時58分、
「お、みいちゃん今日は余裕だね。」

なんていう店長の言葉を聞きながら
女子更衣室に入り制服から私服に着替え
エプロンをみにつけ、軽く化粧を治す。


最後にタイムカードを押しあたしは
きらびやかな繁華街の裏方としてーーー




「みいちゃーん?髪のセットもういけるぅー?」

『はい!いまいきます!』



綺麗な蝶を際立たせるための美容師になる。
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