レンタルな関係。

◆聞いてしまった事実

 要くんを送り出してから。

 カエルに「いってきます」を言って、部屋を出た。


 バイト先に着いて、

 麻紀に流川が自分のアパートに戻った話をすると、

「え? もう一ヶ月経つんだ。なんか…早いね」

 飲み友達ができたような感覚でいた麻紀は、

「でも、連絡とか取れるんでしょ?」

 言っていたけど。


「ううん。実は…」


 旅行から帰ってきてからのことを麻紀に報告すると、

「…そうなんだ」

 麻紀に似合わない渋い顔をしていて。


「唯衣は? それでいいの?」

 心配してくれて。

「うん」

 私の返事に、

「唯衣がそれでいいなら…」

 まだ腑に落ちない感じで。


 だけど。

 麻紀もそれ以上のことは詮索しなかった。


 
 私も。

 要くんが帰ってきてくれたことで、嬉しかったし。

 もう、流川のことは考えないようにしようと思っていた。

 番号も消してしまったことだし。


 
 バイトを終えて。

「唯衣、今日、ご飯食べてく?」

 麻紀に聞かれたけど。


「今日は要くんと一緒に食べる」

 返事して。


 いつもの駅で麻紀と別れた。


 今日はバイト代も入ったし。

「良かったぁ。これでガス代も払える」

 自分のアパートに戻ることも可能になった私は。

「今日は、なにか美味しいもの作ろうっと」


 要くんのために。

 
 要くんのアパート周辺には大きいお店があまりないから、

 ひとつ手前の駅で降りて、夕食の材料をそろえることにした。





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