レンタルな関係。

「やっぱりさ、なにか繋がりがあるんだよ、あんたたち」

「そ、そうなのかな」

「いや、わかんないけど」

「…どっちだよ」


 麻紀は腰に手をあてたまま、私の顔をのぞきこんで。


「その石の意味が本当になったら、もっとすごいね」


 言った。


 どうなんだろ。

 でももし、本当にそうなったら…

 すごいけど。


 でも。

 私はまだ…

 要くんのことも、過去にはできなくて。


「ハタチの試練だね、唯衣」

「う…試練、多すぎるよ」

「ま、いい経験じゃない」

「一気にいろいろありすぎて、カラダとココロがもたないって感じ」

「いいなぁ。唯衣ばっかりいろいろあって」

「あのねぇ…」


 他人事だと思って。

 もうっ。


「でもあたしは、あんたの味方だから」

「麻紀…」

「頑張りな、唯衣。辛いとは思うけどさ」


 ううう…麻紀のバカ。

 泣きそうじゃん。


 結構平気な顔ではいたけれど。

 要くんのことはやっぱりショックで。

 自分の気持ちがグラついていることも。

 なんだか…情けなくて。


「ううう…」

「なに泣いてんの」

「泣いてないしっ」

「おもいっきり涙出てんじゃん」

「う…」


 麻紀は私にハンカチを差しだして。

 ぽん、と軽く頭を叩いた。


「じゃ、唯衣、また来週ね」

「うん。バイバイ」

「まったねー」


 人にぶつかりながら、ひらひらと手をふる麻紀を苦笑して眺めて。


「ありがとね、麻紀」


 私は。

 いつもとは別の電車にのって。


 久しぶりの自分のアパートへむかった。





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