レンタルな関係。

◆オネエマン再び

「う…」


 ギラギラネオン看板の前。

 思いきって来たのはいいけれど。


「は、入りにくい…」


 前は流川と一緒だったからまだ良かったけど。

 一人となると…さすがに勇気がいるぞ?


 看板の前で行ったり来たりして、やっぱり戻ろう、なんてことまで思ってしまったけれど。


「うううぇぇいっっ!」


 ここまで来たら勢いでしょ?

 そうでしょ?

 そうするしかないんだ、私!

 気合だ、私!


 ビルに入って、エレベーターへ。

 4階ボタンを…押してしまった。


「いいいぃやっ、やっぱり降りる! 降ろしてくださいっ!」


 叫んでみても。

 私しか乗ってないエレベーターは、普通に4階に到着。


 ――ガゴン。


 扉が開けば。



『ようこそ!! オネエマンパラダイスへ!!』



 キターーーー…コレ……


 待ち構えるようにして立っていたドアマン代わりのオネエマン。


 さらに。

 ぞくぞくと集まってくる他のオネエマンがた。


「いらっしゃ… あれ? 女?」

「女よ、女。しかも一人」

「へえ、変わった趣味の若い娘もいるもんね」

「っていうか、男連れて来なさいよ。つまんないわね」

「あら? この娘どっかで見たことない?」

「そうね、見たことある気がするわ」

「それよりアンタ、高校生じゃないわよね? 随分幼く見えるけど」


 ハハハ…

 相変わらずスゴイよ。

 怖いよ。


 ひと言めを探しながら、もじもじとオネエマンたちを見上げていると。


「あら、アンタ。ナオちゃんのちんちくりんじゃない」

「あ…」


 奥からひょいと。

 あの日、トイレで話をしたオネエマンが現れた。





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