レンタルな関係。

◆まだ、あと一日


 夜の街。

 そういえば今何時だろうと腕時計を見ると。


「げ。日付変わってるし」


 だよね。

 オネエマンと一緒に一時間は踊ってたんだもん。

 しかも長々と流川との話をしていたわけで。


「早く帰んなきゃ」


 急ぎ足で駅へむかう。


 けど。


「あ。マズイ、かも」


 人ごみを掻き分けながら歩く歩道。

 なんだか足がもたついて。


「す、すみませんっ」


 いろんな人にぶつかる始末。

 ぶつかるだけならいいんだけど…


「もしかして、気持ち悪いか? 私」


 ムカムカ込み上げてくる酸っぱい感じ。

 これは…

 あの日と同じ状態じゃ…


「だ、ダメダメダメ。こんなところでリバース不可っ」


 やっぱり酔ってしまったらしい私の胃は。

 沸々と噴火寸前。


 バカみたいに踊り狂ったりするから…

 飲めない色物のお酒、飲んだりするから…


 ふらふらする足と気持ち悪さ。

 これはどこかに腰を下ろして休憩しないと…マズイ。


 でもこの時間のこの辺は。

 居酒屋とかさっきのオネエマンパラダイスみたいなゴージャズ看板のお店しかなくって。

 休憩するにも、場所がない。


 せめてファミレスくらいあればいいんだけど。

 裏通りのこの周辺にそれを求めるのは、無理。


 だからって…

 いつかのサラリーマンみたいに、その辺に座って休むっていうのも、ヤダし。

 変な人に目つけられたら、もっと困るし。


「こらえろ~…私の胃袋」


 ふらつく足と、ひくひく言ってる咽にぐっとチカラをいれて。


 歩くこと5分。

 なんとか駅までたどり着いた。



 けど……




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