レンタルな関係。
 
見ていた洋画が終わって。

 
テーブルにのったコーヒー入りのマグカップを手にすると、すっかり冷めてしまっていた。

 
淹れ直そうとソファから立ち上がったとき。

 
私が立てた風で、ふわりと舞ったメモ用紙。

 
そのままゆっくりフローリングの上に落ちて。



「し、知らないっ」


 
見なかったことにしてキッチンに向かい、熱いコーヒーを淹れ直したけれど。

 
ソファに戻る途中で、また目につく、アイツの番号。



「………」


 
仕方なく拾い上げて、テーブルに戻す。

 
できるだけ、端っこに。


 
コーヒーを持ったままベランダへ向ってカーテンをそっと開くと、いつのまにか雨は止んでいた。

 
なんだかちょっと、ホッとして。

 
遠くを見ると、ビルの明かりたちが窓越しに滲んでいた。

 
 
流川、どこに行ったかな…


 
またそんなことを思ってしまって。

 
慌ててコーヒーをすすったら、舌をヤケドしてしまった。



もう寝ちゃおうかな。


 
そう思いながらニュース番組を見ていると。

 
いやな出来事ばっかりが流れてきて。

 
急に不安になる。



「………」


 
ううぅ…



「もうっ!」


 
私は立ち上がって、携帯と財布だけを持って玄関へ向った。


ふと気付いてなかに引き返して。

 
テーブルの上のメモ用紙を握りしめてポケットに入れて。

 
 
雨のにおいが残る外に、

 
カラダを放った。


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