True　Love

出会い

引っ越してきて３日目。


私は部屋の鏡の前に立ってゆっくり１回転してみた。


「…やっぱり、なんかな……」


鏡の中の私を見つめながら睨めっこしていると、


「花音！ご飯できたわよ！」


１階からお母さんの声がした。


「はーい！」


ちゃんと１階まで聞こえるよう大きな声で返事をして、少しためらいながら１階のリビングへ向かった。


ーーーガチャ…


ドアを開けてリビングへ入ると焼いたトーストの匂いがした。


そしてまず新聞を読んでいたお父さんが私を見た。


「お、おはよう…お父さん」


私がそう挨拶するとお父さんは失礼にも笑った。必死に声を押し殺しながら。


「ん～…お父さーん…」


不機嫌そうな声で私が言うとお父さんはまだ笑いながらではあるが、「すまんすまん」と謝ってきた。


「まだまだ、幼いなぁお前は。制服に着られてるな」


そう、今私が来ているのは中学の制服である紺のセーラー服。


今日は中学の入学式なのだ。
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