私は男を見る目がないらしい。

*臆病な心をもう一度 「何って、おはよーのチュー。」

 

**

「……何で?」


横ですやすやと寝息を立てて無防備な姿で寝ている男を、私は見下ろしていた。


「……意味わかんないんだけど……はぁ~」


寝起きで働かない頭で昨晩の出来事を思い出した私は、大きなため息をつきながら頭を抱えた。


……同窓会が終わった後、何故か私の家まで着いてきたこの男……朔太郎は、私の制止の言葉を全く聞こうともせずに、何の躊躇いもなく私の部屋に上がり込んだ。

そして、あれよあれよという間に、シャワーを浴びて、適当な服でいいからと私のお気に入りのだぼっとしたTシャツを着て、そのまま私のベッドに我が物顔でダイブしやがったのだ。

私はと言うと、そんな自分勝手すぎる朔太郎に呆れてしまって、ベッドの上でゴロゴロとしていた朔太郎に向かって「絶対に覗かないでよ!」と念を押した後、汗を流すためにシャワーを浴びることにした。

入ってきやしないかと私はヒヤヒヤしていたけど、朔太郎は私がシャワーを浴びている間にベッドですやすやと眠ってしまっていて、全くの無駄な心配だった。

朔太郎の無防備すぎる寝顔を見て、気が抜けてしまった私の口からさらに大きなため息が出たのは言うまでもない。

朔太郎がベッドを占領していたせいで私は寝る場所がなく、ソファに寄り掛かって途方にくれている間にソファで眠ってしまっていた……はずだった。

なのに、起きてみれば、何故かココ……狭いベッドの上に、二人並んで仲良く寝ていたのだ。

……いや、全く意味がわからない。

 
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