恋物語。
「…そういえば知沙ってさ、料理とか出来るの?確か実家暮らしだよね?」
「え、あぁ…簡単なものなら、少し…」
「あ、そうなんだ?なら今度作ってよ。俺ん家、招待するからさ」
「えぇ…っ!?」
聡さんが、あまりにもスラスラとそう言うもんだから返事に困った。
だって…“俺ん家”って聡さんの家ってことでしょ…?
確か聡さんは一人暮らしだって言ってたから…だから…そんな部屋に二人っきりってこと…っ!?
「ん…?ダメなの…?」
「っっ…」
はっきりとした返事をしないでいると、彼はグッと顔を寄せてきた。
ダメって…ダメとかそんなんじゃ…そんなんじゃない、けど…っっ
「あ…もしかして緊張するとか…?“あんなこと”したのに?」
「///…っ!!」
“あんなこと”が何を示しているのか分かってしまう私は一気に顔に熱を集めてしまう。
「顔真っ赤にして何考えてるの?知沙ってばエッチだなぁ。」
「っ!!!! ち、違いますっっ!!そんなこと考えてませんからっっ」
ニヤッとした表情を浮かべた聡さんに慌てて反論する。
そ…そんなことなんて…1ミリ、いや少しは考えた、けど…でも考えてないから…っ
「ふーん…まぁいいや。でもほんと来てよ、知沙の手料理が食べてみたい。」
聡さんはそう言うと身体を元の位置に戻した。
「……かっ…考えておきます…」
「じゃあ期待しておく。あ、そうだ。今日はこのあと予定ある?」
「え、あ…特にない、ですけど…」
なに…?まさか今から行くとか言わないよね…!?
なぜかそんなことが頭の中をよぎってしまった。
「何その顔。安心しなよ、家行こうとか言わないから」
「っ…!!!」
ば…バレてた…っ!!恥ずかしい…っっ
「で、話戻すけど…眼鏡、選んでくれない?」
「え…眼鏡…?聡さん、目悪かった…」
「さっき言ってたじゃん、ブルーライトカットの度なしもあるって話。それだよ」
聡さんは私の言葉を遮り、そう言った。
「あ、あぁー…そういえば言いましたね、私。」
「でしょ?だから俺も試してみようかと思って。だから付き合ってくれない?」
「…はい、分かりました。」