恋物語。




「…綺麗ですね、お部屋。」



「そう?まぁいつもよりは綺麗にしたけどね。」



玄関を上がって部屋を進んでいくと左側にキッチンがあり、その前にダイニングテーブルと椅子が置いてある。
その向こう側、リビングには左側の壁の方に大きなテレビ。その向かい側には黒色のソファ。その間にローテーブル。
そのリビングの右側に寝室と思われるお部屋のドアが見えて、その手前にお風呂とトイレがあった。





他の男の人の部屋は見たことがないから比べられないし分からないけれど…本当に綺麗に片付けられている…と思う。




「じゃあ早速作っていきますね…?」


実は今日はお昼すぎから外で会っていて時刻はもう夕方を回っていたので私はキッチンへと入って行った。



「うん。てか…何作ってくれるの?」


キッチン前のダイニングテーブルに座った聡さんがそう聞いてくる。



「え…?あぁー…チャーハン、です…」


それに私は手を洗いながら答えた。



「へぇ~…チャーハンかぁ。楽しみだなぁ」



「っ…」


そう言いながら頬杖をつき嬉しそうに笑う聡さんの顔に思わずドキッとしてしまう。




聡さん…そんな顔で私を見つめるのは止めてください…。


ずっとそんな顔で見つめられたら…私は…私はもう…
あなたの“罠”から抜け出せなくなる気がする…――。





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