「降参する」



 その直後、対戦相手の不戦敗とユイの勝利を審判が高らかに告げると同時に大きな歓声が上がった。


 しかし、歓声の中には「卑怯者」や「八百長だぁ」といった批判的な怒声が数多くある異様なものだった。


 何故なら、これによりユイの準決勝進出が決まったのだが、この対戦を含め相手の体調不良や行方不明による不戦敗や開始直後の降参により一度たりとも戦っていなかったからだ。


 その事に不満を持つ、この大会に出る事すら叶わなかった学生達からの声だった。

 それは試合場から下がり、選手の控え室のある裏に行ってからも続いた。


 会場裏ではユイ同様にこの大会に出場している学生と関係者が沢山いた。
 準決勝に進出する4人の内、ユイを含め3人決まって、最後の準々決勝の戦いは直に始まる。
 試合の準備もせずここにいる学生は、既に負けが決まった者達だ。



 そんな者達が集まる会場裏の至る所から向けられる疑惑の視線、視線、視線………。


 そんな針のむしろ状態の中を歩きながらユイは深い溜め息を吐いた。


「(鬱陶しい……文句なら戦わず降参する相手に言えばいいのに)」




この作品のキーワード
溺愛  一途  王子  最強  魔法  学園  貴族 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。