「やったね!さすがフィニー君」

「ユイとイヴォが気を逸らしてくれてたからね。
 想像以上に上手く行って良かったよ」


 試合を終え、自室へと帰ろうとしている途中、試合に勝ち明日行われる元帥と総帥の特別授業をもぎ取ったライルの気分は最高潮に上がっていた。

 フィニーは相変わらずにこにことした笑顔で内心は分からないが、イヴォとクロイスは平静を装ってはいるが口角が引きつっている。

 おそらく、溢れ出しそうな感情を必死で抑えているのだろう。
 本当は大笑いしながら踊り出したいほど嬉しいはずだ。


 そんなイヴォ達を他人事のように見ていたユイは、ふと前方に立っていた人物を目に留め、分かりやすいほど嫌そうに表情を歪めた。


 癖のある髪で、筋肉のついた体格の良い、野生の獣のような鋭い雰囲気を持つ男性は、ユイと目が合うと獲物を見つけかのように不敵な笑みを浮かべユイに近付く。


 ただそこに立っているだけだというのに、まるで戦場のさなかに居るような錯覚を起こさせる圧倒的な威圧感に、イヴォ達は自然と冷や汗が浮かび背筋が伸びる。



「久しぶりだな、嬢ちゃん」

「何か用ですか」


 機嫌が悪そうに不遜な態度を取るユイに、ライルは声無き声を上げる。

 ユイを止めようにも、あまりに迫力ある男性を前にして、誰もが声を出す事が出来ない。
 不用意に声を出せば食い殺されそうな恐怖が先立ち、身が竦んだ。




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