合宿二日目。


 生徒達は施設内にある魔法使用も可能なように結界が張られた訓練所に集まり、特別授業が行われていた。

 誰もが実績を残そうと死に物狂いで頑張る中、バーハルでのお菓子だけが目的という不純な動機で参加したユイは全くやる気がなく、早速授業をサボり施設内を探検していた。


 最初は不気味で怖がっていたこの要塞だったが、テオドールが遊びで作ったと聞かされてからは、単純ながらあまり怖さ感じなくなっていた。
 まあ、不気味である事に変わりはないが。


 サボっているのが見つかれば強制的に連れ戻されるので、まるでかくれんぼのように時々見かける教師から隠れながら探検している。
 教師もまさか、選抜されるだけでも難しいこの合宿で、サボる生徒などいると思っていないのだろう、周囲に気を配っていない為に物陰に隠れれば比較的やり過ごすのは難しくなかった。



 そうしてユイが向かったのは昨夜テオドールが言っていた庭園。

 ここの庭園は、王宮の毎日優秀な庭師による手入れの行き届いた洗練された庭園とは違い、自然そのままのような庭だ。
 かと言って放置されているわけではなく、バランス良く草花が生えているので、定期的に手入れはされているのが分かる。

 生えているのは王宮の華やかな大輪ではなく、どこでもよく見かけるどちらかと言うと地味目の可愛らしい花々。
 歩いているとどこかピクニックに来ているような、そんな楽しさがあり、テオドールの言ったようにユイ好みの庭園だった。


 植えられている草花には背の高いものもあり、身を隠すにも最適で、万が一授業に出ていないユイに気付き誰かが探しに来ても上手く逃げられそうだ。



 ただ、昼間は良いが、夜は要塞の雰囲気と相まってかなり不気味になりそうなので、暗くなる前には帰ろうと心に決め、庭園を散策する。




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