ぎゅってして?
その後の二人*.⋆( ˘̴͈́ ॢ꒵ॢ ˘̴͈̀ )⋆.*


「梨乃ー?」

「なぁーに?」






あたしたち二人はいまや、学校公認カップル!

先生たちにも認められている。

…那姫ちゃんにも彼氏が出来た。

同じクラスの高山 透(たかやま とおる)。

この二人は美男美女カップルで…、あたしたち同様、公認カップル。




「梨乃」

「ん?」

たった10分の休み時間だって会いに来てくれる信夜。

「あたしもクラスに……会いに行ってもいい?」

いつも会いに来てくれるばかりで、あたしから会いに行ったことは一度も無い。

「え?…駄目に決まってるじゃん」

「だ、駄目なの?…あたしだって、会いに行きたいもん!」

信夜の手を握ったり離したりしながら、あたしは返事を待つ。

「…梨乃は、受け身でいていいんだよ」

なんでよぉー!

あたしだって、やる時はやるんだから!

あたしは心にそう誓って、今日の昼休みを待ちどうしく思った。



「これで授業を終わる」

先生が早めに出て行ったので、あたしもすぐに信夜の教室に行った。

「…まだかな?」

あたしはジッと終わる時を待つ。

信夜の教室から先生が出てきた。

「お、甘夏か…。末村は教卓の前の席だぞ?」

「あ、ありがとうございます」

あたしはそう言って、一個下の信夜の教室に入る。

あたしが入った瞬間、ガヤガヤとうるさくなった。

信夜は友達と話していて…。

「でさ?…って、甘夏先輩が…居るぞ!?」

先に信夜の友達が気付いて…。

でも信夜は…。

「ん?…この教室に居るはずないじゃんか…」

呆れた声で言う。

…居るんだけどね?

「のーー「甘夏先輩が居るぞっ!?」」

「ふぇっ?」

あたしの周りは見事に男子!

他のクラスも居そうな勢い。

「えっ…?梨乃…なんでいんの?」

だってだってだよ!?

会いたかったんだもん!

「甘夏先輩っ!昼ご飯ご一緒にどうですかっ?」

「いやいや、俺たちとエッチなゲームしましょ?」

コッチに引っ張られ、アッチに引っ張られ…と、あたしは綱引きの紐の様になって居る。

段々と涙も溜まって行き…、

「の、信夜ぅー、ごめんなさいぃ」

と、あたしの謝罪の声が響き渡った。

「…だから、会いに来んなって言ったのに…」

呆れた様に笑って、あたしを抱き締めてくれる信夜。


「…悪いけど、梨乃は俺のだから…、…綱引きしたりすんなよ?…梨乃は泣き虫なんだから」

な?

と、あたしの頭を撫でながら、見つめられる。

「…そんなこと「あるだろ?」」

ない…。

そう言おうとしたら、遮られた。

「1年のくせに男子は皆…野獣でませてんの。…危ないから駄目だ、って言ったろ?」

涙がポタポタと床に落ちる。

それを拭ってくれる優しい指。

「…会いに来んな、しか言われてないよ?…ちゃんと言わなきゃ…馬鹿だから分かんないもんっ」

信夜にぎゅっと抱き着くあたし。

「そーだな。俺の気持ちも分かんないもんな…」

「え…?」

「…俺、梨乃と…キスしたい。梨乃と居ると理性保つので必死なの…わかる?」

苦しそうに微笑むから、あたしは更に涙が出た。

「す、好きだからっ!…あ、あの…ぎゅって抱き締めながら…キスしてくれるならっ…いいよ!?」

声のボリュームがついつい大きくなってしまった。

だから、周りにも丸聞こえ。

「「ヒューーー、ヒューーー!」」

「い…の?」

あたしは恥ずかしくて頷くことしかできない。



信夜は更にぎゅっと抱き締めながら…


あたしに優しいキスを落としてくれました。


「梨乃、チューしたいほど愛してる」


と言う、甘い響きとともに……。








*・゜゚・*:.。..。.:*・'end'・*:.。. .。.:*・゜゚・*





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