紅Ⅱ(クレナイ)~解き放たれる鎖~
一章 忍び寄る影


九月の中旬---


まだまだ夏の暑さが続く今日もまた、朝から賑やかな怒声と男達の黄色い雄叫びが、帝星学園高等部学生寮から学園へと続く道から木霊する。




それはある時期から最早名物になっている事で、周りにいる生徒達はそんな彼らを温かい目で見守っていた。







「綾香様~~~~~ッ!お待ち下さい~~~~~~ッ!!!!!」


「朝からしつこいッ!もう迎えに来ないでッ!」




ドドドドドドドッ---




「そうは行きません~ッ!あなたを守るのが我々、綾香様親衛隊の役目なのです~~~ッ!!!」


「だからそんなの必要ないって言ってんでしょッ!だいたい私より弱いくせにどうやって私を守るのよ!」


「綾香様の為なら例え火の中水の中、この次郎丸めと親衛隊がお守りいたしますッ!」




ドドドドドドドドドドド---




朝早くからこうして追いかけっこをするのは、もはや当たり前の日常となりつつある事に頭が痛い。


そう思いながらも後ろを振り返れば、私を笑顔で追いかけてくるむさ苦しい親衛隊長である次郎丸と私の親衛隊と名乗る男達…。




私、九門綾香はハァー…と一つ大きくため息をつき、そして上を見上げた。





うん、


本日もすこぶる快晴なり---


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