【完】切ないよ、仇野君
turnover-歯痒いよ、小鳥遊君



生まれて初めて、学校を休んだ。


小中、そしてこれまでの高校生活、皆勤賞を守り抜いた私が、体調不良でもなく、普段なら学校にいる時間に家で寝ている。


そんな私が休みたいと言ったもんだから、お父さんもお母さんも何かあったんじゃないかって凄く心配していて。


何か……あった。ありすぎたよ。


唇に触れると、昨日の温もりが、柔らかさが、湿り気が復活して、唇が火傷してしまいそう。


起きたことは嬉しいことだったのに、泰ちゃんに言われたことと自分の取った態度に沈みっぱなし。


泰ちゃんは、自惚れじゃないなら、私を特別視してくれてる。


でも、私が椿のことを好きだって誤解してて、私はその誤解をうじうじして解くことが出来なかった。


大事な夏のインターハイ前に、主役じゃなくても大きな役割を担う泰ちゃんを、悩ませているんだって分かってしまった。
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