青春を取り戻せ!

ボン

 
パトカーまで連れて来られた。

中には運転手役の制服の警官が既にスタンバッていた。

後部座席に二人の私服に挟まれるように乗せられた。

パトカーは発進した。

門を出て、車が左に進路を取った途端、ガチャン!と激しくガラスの割れるような音が僕の家から聞こえた。

「ちょっと止まって下さい!」

僕は叫んだ。

「どうしますか?」

運転手役の警官が言った。

「このまま行け」

歯ソーノーローは表情一つ変えずに冷たく言った。

車は加速された。

ワン!ワン!ワァン!………

僕の目に、凄いスピードのため、角を大きく膨らんで曲がってきたボンの姿が入った。

ボンは僕の一大事と判断し、皮の鎖を噛み切り、ガラス戸をぶち破り、追って来てくれたのだろう。
さっきの大きな音は、その時の音だったのだろう。

「待ってください!愛犬が鎖を切って追って来てしまいました。止めてください」

「行け!」

歯ソーノーローはまたしても冷酷に言った。

体がシートに押し付けられた。再び加速されたのだ。
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