油断してた。


たとえ今がお昼の休憩時間内だとしても、社長が自分から「コーヒーをいれて欲しい」なんて滅多に言うことじゃないのに。

「椎名のいれるコーヒーは特別美味いから、ちょっと隣で見せてくれないか」

そう言ってわたしの後ろについて給湯室に入ってきた。



変だった。

今考えれば確実に、変だった!



「破廉恥!変態!セクハラ上司!」

「ひどい言われようだな」

そう言いながらもわたしの言葉におかしそうに笑って、全然離れてくれる気配はない。

「離れてください!近寄らないで!」


逆毛をたてて威嚇する猫みたいに、目の前の社長を睨みつける。

社長はわたしに続いて給湯室に入ってきて、どうやったのかごくごく軽い力で肩をぽんっと押されたかと思うと、気が付いたときにはわたしは壁を背にじりじりとこの人に迫られるという状態が完成していた。


「だけどお前、あの日からちらちらと俺のほうを気にしてる。バレバレだ」


そう言うと遂にわたしの顔の横に片手をついて、ぐっと端正な顔を寄せてきた。

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