とろける恋のヴィブラート
「…………」


 沈黙の中、柴野はちらりと掛かっているピンクのドレスを見やった。


「ピンクは君の趣味じゃなかっただろう? どうしてこの色を選んだのかな……相変わらず冷たいキスだね、奏」


 低い柴野のつぶやきは、誰の耳にも届くこともなくシャワーの音にかき消されていった――。
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