とろける恋のヴィブラート
※ ※ ※

「青山先輩、おはようございます。うわ! どうしたんですかその目! なにかあったんですか?」


「え? う、ううん。なんでもないよ。コンタクトが合わなくてちょっと腫れぼったいだけ」


 会社に着いて自分の机で一息していると、美香が心配そうに覗きこんできた。


「あんまり無理しないでくださいね」


「うん、ありがとう」


(うぅ、やっぱりメイクじゃ誤魔化せなかったか……)


 一晩中泣きはらした目元は、普段のメイクでは隠し通せなかったようだ。奏はもう一度メイクを整えるために化粧室へ向かうことにした。



 そしてその途中――。
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