とろける恋のヴィブラート
LESSON8 別れ
 片山の結婚式当日――。
 

 指の怪我もなんとか回復し、奏は御堂と仕事帰りに演奏の練習に励み、そしてこの日を迎えた。


 ピアノの練習もさることながら、余興のステージやクライアントの希望する演出などを企画し、奏は忙殺された日々に見舞われていた。


(それにしても……)


 式場の控え室に入ると、自分宛に一着のパーティードレスが用意されていた。


 それは淡いピンクのすっきりとしたラインのドレスだった。


 奏は、その用意されたドレスに身を包み、鏡に映る自分の姿をじっと見つめていた。そして包み紙の上に置かれていたカードにもう一度目を落とした。
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