Time memorial~遠くへいる君達に、会いたいと願った~

クリスマスプレゼント

次の日



んー…眠い…



朝の補習が終わり、少し伸びをする。



これ、どうしようかな…



ブレザーの上から胸の辺りを触る。



そこにはクリスマスイブの日に届いた

金メッキの鍵がある。




気になって着けてきちゃったけど

皆に隠れてアクセつけてくるなんて

初めてだよ。




そう思うと少し照れてしまった。




「おーりーはーちゃん!なーに笑ってるの?」


『ふえっ?!』



「んもー。びっくりしすぎだよー。」



そう言って同じクラスの花菜が私の肩をがっちり掴んで笑う。


花菜は小学校からの友達だ。

中学では残念ながら
同じクラスになれなかったが


高校では同じクラスになれて

大抵は二人でこうして話をしている。



『んー。なんでもないよ。』




そう言ってニコリと笑ってみせる。




相談した方がいいのかもしれないが

今は少しこのフワフワした感じを

楽しんでいたかった。




「ふーん。まぁ、いいや!それよりさ!」




そう言って前の席に座って何かを語りだそうとしている花菜は


ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む。





な、何か嫌な予感がする…



『な、なに?』



おどおどしながら花菜を見返すと



「あんた。昨日、堀内先輩に告られたんだって?」



『…え。』




「んで。それを断ったと。」




『……え?』




ナニソレ。告られた?



全く身に覚えがないんだけど…




「…………ハァ…やっぱり。自覚なかったんだ。」



『え?』



堀内先輩は一つ上の先輩だ。

バレー部で、後輩からも慕われている。

確か、結構カッコイイって人気があると聞いていたが…



まさかそんな人が自分に告るなんて

ありえない。



ありえるはずがない。



第一面識がない。名前は知っているが

肝心の顔は未だに分からない。




「…なーんでそんなに君は色恋に興味がないのかねぇ。せっかくの青春なのに。」




『興味がないって言うか……あ!もしかして昨日本持ってくれた人?』




思い出した。


図書室から資料を借りて来るときに



予想以上に重くて少しふらついてて



その時に、



「女の子がこんな重いもの持っちゃダメだよ。」



そう言ってヒョイッと私から資料を取り上げてしまったのは




茶色っぽい黒髪はさっぱりとした感じで

耳が少し隠れる程度で、



階段上から漏れる光が後ろから照らしてて


柔らかく笑って私を見おろす男子生徒がいた。
< 6 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop