お向かいさんに恋をして
「ここで良いか?」

「うん、ありがとう」

私ときなこちゃんは案内された窓際の席についた。

「あれ? 安達、居酒屋でバイトしてなかったっけ? あっちは辞めたの?」

きなこちゃんはメニューを受け取りながら、彼を見上げた。

「辞めてねぇよ、掛け持ちしてんの。
今日はこっち」

「頑張るねぇ、偉いなぁ」

うんうん、と頷くきなこちゃんと、ちょっと照れたように笑う安達くん。

「誉めても何もでねぇぞ。
じゃ、注文決まったら呼んでくれ」

言って安達くんは行ってしまった。

「安達がいるとは思ってなかったから驚いた衝動かな。

今、妙に安達のことが頭の中を駆け巡ったわ。

あ、でね、そうそう。
安達の実家って道場なんだよ。
それでちっこいころから鍛えてたんだって」

きなこちゃんはふと思い出したように言った。
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