お向かいさんに恋をして
「……? ご注文、お決まりですか?」

「あっ、ご、ごめんなさいっ! 
まだ、です……」

あまりの格好良さに見惚れていると、声をかけられた。

私は慌ててメニューに視線を戻した。

「では、失礼します」

イケメン店員さんは軽く一礼して去っていった。

「あいつは止めとけ。で、注文は?」

イケメン店員さんと入れ違いに、さっきの照れたような笑顔とはうってかわって、不機嫌そうな安達くんがやってきた。

「あいつって、さっきのイケメン?」

きなこちゃんが首を傾げると、安達くんはますます不機嫌になった。

「ああ。あいつ目当ての客って多くてさ。
競争率高いし見込みないぞ。

ま、それ以前なあいつ、一途に一人の女子に数年片想い中。ますます見込みない。

で、注文」
< 111 / 226 >

この作品をシェア

pagetop