お向かいさんに恋をして
「見ての通りよ。
秋中さんが酔って寝ちゃって、さくらちゃんを抱き枕にして離さないの。

私たちじゃ剥がせなくって、男手いるなぁって日野呼んだ」

留奈さんは彼にさくっと現状を説明した。
どうやら応援として呼んでくれたらしい。

男性が首を傾げて私を見やる。

「さくらちゃん……?」

「ど、どうもこんばんは……。
わざわざすみません……」

首を捻ってどうにか後ろの彼に挨拶した。

彼は私の顔を確認して、ああっと手をポンと打った。

「隣の部屋の子かぁ!
引っ越しの挨拶に来てくれたよね!

……確か、波江さん? だっけ? さくらちゃんって名前なんだね」

フルネームは波江さくらちゃんかぁ、と何か納得したように頷いている。
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