大工さんに恋していいですか?おまけ追加中
10.幸せの為の第一歩
その日のうちに、おばあちゃんは私に鍵をくれた。

『荷物のほとんどは、処分し、必要な物は、博さんや

工務店の計らいで、今日のうちに運び込んでくれたから、

家の中は空っぽさ。だからもう、その鍵は羽菜ちゃんにあげるよ。

出来あがったら、一度私にも見せておくれ』


おばあちゃんと交わした約束を胸に、その鍵を握りしめた。


「羽菜、オレとの結婚を決めてくれてありがとう」

「…そんなお礼なんて。私が博さんと一緒にいたいから、

この結婚を決めたんです」

帰りの車内の中、博さんと私は、これからの事を話しあう。


「…これから忙しくなるな」

「・・・そうですね」


そっと、博さんは私の手を握りしめる。

私はその手をしっかりと握り返した。


「羽菜の両親に、挨拶に行かなきゃな」

「…博さんのご両親にも」


「こんな叔父さん連れて帰ったら、驚くんじゃないか?」

「そんな事無いですよ、うちの両親はそんなこと気にするような人たちじゃないですし。

とってものんびりとして些細な事は気にしないそんな両親です」


「それならいいけど…うちの親は驚くだろうけどな・・・

こんなに綺麗で若い子連れて帰ったら」

そう言って博さんは笑った。
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