大工さんに恋していいですか?おまけ追加中

博之side

…羽菜に会いたい。…羽菜の声が聞きたい。

何度そう思ったかしれない。

でも、仕事のすれ違いで、会う事はおろか、

電話をかける事すら困難な状況だった。


帰りはいつも深夜。

それなのに、羽菜の家に行く事は出来ず、電話も、めーるですら、

彼女の事を想うと、掛ける事が出来なかった。


そんな日が続いたある日。

あまりの忙しさに、羽菜に会えないもどかしさに、

祐司に八つ当たりする自分がいて。

・・・予定通りに進まない現場に苛立って、他の業者に怒鳴っている自分がいて。


・・・ホント、何やってんだオレ。

そう思うと情けなくて。


帰りには、祐司に謝らなければ、と思いつつ、仕事に戻っていた。

「あ、博さんの彼女さん」

「?!」

・・・その言葉にピクッと体が反応する。


久しぶりに見る羽菜の姿に、心がフッと軽くなる。

顔を見ただけで心がほんわかと温かくなる。

・・・近寄ろうとした、羽菜を見たくて、羽菜の声聞きたくて。

それなのに。
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