真っ直ぐ歩けばー星ヶ丘高校絵巻ー
間違った決意
あと一週間ほどで試験週間に入る。

朝練を終えて、あたしは教室に戻った。

廊下や窓から、たっぷり降り注ぐ

陽射しは既に初夏のものだ。

「おはよー。」

誰に言うでもなく挨拶しながら席に

つくと、数人の女子が、興奮したような

顔で駆け寄ってきた。

「ちょっと、瀬戸ぉ!聞いた!?

校内掲示板にさあ…」


せきを切ったように話し始めたのは、

同じクラスでも派手な部類の黒田だった。


黒田とは同じグループってわけではないけれど、

それなりに仲が良い。


「はぁ、何?」


うるさいな、と顔をしかめて見せたあたしを

彼女たちは嬉々とした表情で

取り囲む。

「今朝さぁ、掲示板に貼ってあったの、

あたしも実際見ちゃったんだけどさ

あ…」


黒田が大げさにに眉根を寄せて

あたしに顔を近付ける。
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