あなたが作るおいしいごはん【完】
【2】

彼に惹かれ始めた日


それから2ヶ月後

高校を卒業した私は約束通り

彼…カズ兄ちゃんこと押谷和亮と

お正月にあのお見合いをした

Aホテルの特別和室において

双方の父親と

私の弟靖英の立会いの元で

結納を交わして婚約した。


『和亮君…萌絵を頼むよ。
色々と料理を教えてやってくれ。』

『ありがとう、萌絵ちゃん。
和亮を宜しく。
泣かされたとか困った事があったら
遠慮せずすぐに
私に連絡してくれたらいいからね。』

『姉貴良かったな。
父さん達のやり方は強引だけど
カズ兄さんが俺の義兄になるなんて
凄え嬉しいんだけど!!
しかも、カズ兄さんが
来月からTVにも出るなんて
有名人になって忙しくなるな。

…あっ、カズ兄さん。
この《唐揚げ》と《茶碗蒸し》
凄え美味いですね。
是非俺も作ってみたいから
レシピ貰えませんか?』

『おぅ、靖英。
和亮君からドンドン習うといい。』


皆が喜んでお酒を酌み交わし

和やかに食事をする中で

いつもとは違う化粧を施され

上等な紅色の着物を着せられて

別人のように着飾られた私は

皆の喜ぶ姿に

作り笑顔を浮かべるしかなかった。



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