「さ、神社へ行きましょう」
ぼんやりと考え事に耽っていた私の手を引き、櫂君は意気揚々と歩き出す。

ちょっと強引な感じで引き摺られたのに、うーん、なんでしょう。
この、感じ。

悪く……ない?

行きかう人たちにぶつからないよう、それでもしっかりと手を握られて、私は櫂君と神社をめざした。

大きな門をくぐれば更にたくさんの人たち。

こんなにいっぱい人がいて、お参りなんてできるのかな?
なんだか、参拝するところまで辿り着けない気がするよ。

「ねぇ。凄い人だね。鈴鳴らすところまでいけるかな?」
「ですねぇ。あ、もしかしてこのあと予定とかありますか?」

「ううん。そうじゃないんだけどね」
「もしかして、寒いですか? 僕、何かあったまる物買って来ましょうか?」

「あ、いいよ。大丈夫っ」

すぐさまどこかへ向かって一直線に飛んでいきそうな櫂君のコートを引っつかみ、私は慌てて引き止める。
こんなところで置いてけぼりにされたら、なんだか二度と逢えなくなりそうな気がしてしまって、思わずコートを握り締めてしまった。

そんな私の姿を見て櫂君が微笑む。

な、何……その笑顔。
って、いつもだよね。

そう、櫂君はいつでも笑顔なんだ。
私は、そんな櫂君の笑顔が嫌いじゃない。

それにしても、相変わらずよく気が利く櫂君ですね。
あった買い物をなんて思っても、なかなか行動には移せないものだよね。
ホント、感心しちゃいますよ。