コイツ、俺の嫁候補。
。:*°待っていられるか?


──新しい年を迎えた。

あたしも気持ちを一新しようと思って、健司おじさんが誘ってくれた初詣に三人で行ったりもした。


おじさんは、あの日あたしが失礼なことを言ったにも関わらず、何事もなかったように優しく明るく接してくれる。

それが逆に無理をさせているように思えて申し訳ないのだけど。


そしてあたしも、これからはおじさんがお父さんになるんだから仲良くしないと……と思うたび、やっぱり心に違和感が生じていた。


もやもやしたものはそれだけじゃない。

おじさんと一緒にいる時のお母さんは、あたしが知ってる“母親”じゃなくて“女”の顔になっているのがわかる。

そんな、恋をしてるお母さんを見るたび、全然知らない人になってしまったようで……

一番身近な彼女が、とても遠く感じた。



でもきっとこれも仕方ないこと。

那央の言う通り、こういうことを乗り越えていかないと家族にはなれないはず。

そう言い聞かせて、今日もあたしは二人の前で笑顔を作るのだった。

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