ガーデンテラス703号

Living room



「そっかぁ。それはショックだったね」


昼休み。

香織と一緒に入った会社の近くのカフェで、風邪をひいてしまったいきさつを話す。

香織は私が昔遥斗のことをどれだけ好きだったかや、別れたときの落ち込み度合いをよく知っている。

だから、彼に再会したことや彼が婚約していたことを話すと顔を曇らせて私に同情してくれた。


「それで、体調はもういいの?」

「うん、もうすっかり。一緒に住んでる友達が買出しとか色々してくれたから」

「あぁ、シホちゃんだっけ?風邪のときひとりだと不安だもんねー」

「あ、うん……」

香織の言葉に、ちょっと躊躇い気味に頷く。

風邪が早く治ったのはシホもそうなんだけど、どちらかというとホタルのおかげ…かもしれない。

昨日は一日休みだったらしいホタルは、夜も私用に鍋焼きうどんを作って部屋に持ってきてくれた。

美味しくて、身体が温まって一気に元気になった。

だけど、それを言うと香織が目を輝かせて色々突っ込んできそうで話すのを躊躇う。


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