カットハウスやわた
星降銀座商店街
ランチは、海沿いのお洒落なイタリアンで食べた。もともとは、商店街の中にあった小さな店。評判がクチコミで広がり、海沿いに移転したそうだ。


『名店がいっぱいある』


八幡さんがそう言っていたが、あながち嘘ではないようだ。


「ごちそうさまでした。とってもおいしかったです」


「気にいってもらえてよかった。今日はまだ仕事があるから」


「は?はぁ……」


「今度の休み、どこかに行こう」


「……明日のこともわからないのに、もう次の休みの話、ですか?」


遠まわしに「ノーサンキュー」と言ってみたが、ナルシストには伝わるはずもなかった。


「そうだよね。真矢は、新しい場所に来て、不安だもんね。でも……」


「……でも?」


「オレがいるから、何も心配はいらないよ」


「……はぁ」


その微笑みに、一抹の不安を覚えた。


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