獣耳彼氏
第三章

その頭にあるものはなんですか




いろんなお店を見て回ること数時間。


外が暗くなるまで私と京子は買い物をした。


服を見たり、アクセサリーを見たり、メイク道具を見たりと。


飽きることなくショッピングモールを練り歩いた。



たくさん歩いて、たくさん話して、たくさん笑った。


京子の口からたまに出る、秋月くんの名前に一喜一憂して。


それでも、最後にまとめれば楽しい1日を過ごすことが出来た。



そして、夕暮れ時。


ショッピングモールで京子と別れ帰路に着く。


いくつか勢いで買ってしまった服やアクセサリーの入ったショッピングバックが歩くたびに揺れる。


心地よい秋風が髪の毛を揺らす。


風の向くまま気の向くまま。


私はゆっくりと足を動かす。


私以外、誰も居ない道を。


ショッピングモールで嫌というほど歩いたのに、なんとなく気分が良くて家までの道を少し遠回りをする。


京子と別れた時には夕焼けが空を覆っていたけれど、のんびりと歩いていると気づけば辺りは暗くなっていた。


空を見上げれば月の輝く夜空が広がっている。


ふと、左手につけたブレスレットを掲げた。



< 65 / 249 >

この作品をシェア

pagetop