【完】私と先生~私の初恋~
少し背伸びした恋。
そして、私は中学校に入学し中学生になった。


予想通り、いじめられた。


だけど、それは最初のうちだけ。


きっと当事者たちはいじめ以外の楽しみや興味を見つけて私のことを構わなくなったんだと思う。


それだけでも十分中学生活がすごしやすくなった。


だけど、私には一つ、心に引っかかっていることがあった。


話すのが楽しみだった関岡先生がいないこと。


その楽しみが唯一無いだけで虐められていた小学生時代よりも、学生生活が今一つ楽しめないでいた。


──人生初の期末テストが終了し、まだまだ友達が出来ずに暇だった私。


ふと、小学校を覗きに行ってみようと思い立った。


小さな田舎町だから、中学校と小学校は自転車で約5分。


久々の小学校に懐かしを覚えたけど、なんとなく思い立ってきたから目的はない。


駐車場脇に自転車を停め、非常階段に座り、仕方なく校庭をボーっと眺めていると、頭上から自分の名前が呼ばれる。


見上げると、校舎の三階にある音楽室の窓から関岡先生が手を振っていた。


ドキリとしたと同時に嬉しく、でもなんだか少し恥ずかしくて私は小さく手を振りかえした。


先生はそれを確認すると、スッと窓の中に消えていった。


思いかけず先生の顔を見れたこと、自分のことを覚えてくれていた嬉しさに幸福感を覚えながら、私はまた校庭を眺めはじめた。


わざわざ3階から声をかけてくれるなんて、先生は優しいな。


なんとなく来ただけと思っていたけど、もしかしたら自分は先生に会いたかったのかな。


そんなことをいろいろ考えていると、今度はもっと近くから名前を呼ばれて私は振り向く。


正面玄関から関岡先生が歩いてきていた。
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