【完】私と先生~私の初恋~
私の一途な思い
「気がかりで、可愛くて…


放っておくとすぐボロボロになって戻ってくる。」


先生はすっと、腕の力を緩めた。


「僕はずっと昔から、貴女の事が好きだったんですよ。


気がつかない振りをして、妹のようだって言ったりしてずっと誤魔化してたんです。」


先生は私の腕をそっと放すと、顔を上げてそのまま前を眺めた。


「でも僕は貴女よりずっと年上だ。


自分の気持ちに気がついても、何もすることは出来ない。


貴女がだんだん離れて行って、あぁこれでいいんだと…


ずーっと言い聞かせました。


本心はすっごく嫌でしたけどね。」


先生が遠くを見つめながら小さくハハッと笑う。


胸が苦しくなった。


「今日だって最後って言われて…


僕も諦めるつもりで来たんですよ。


貴女にはこれから未来がある。


ずっと僕の傍に居させてしまったら、僕は貴女の未来を摘み取ってしまうかもしれない。


貴女が僕から離れたいって言うならそれが一番なんだと…


そう…覚悟してきたのに…」


先生はそういうと、また黙って下を向いた。


塞き止めて仕舞い込んでいた思いが、ガンガンと溢れ出てくる。


「私だって…」


息が詰まる。


「私だって…覚悟してきたのに…


どうしてそんな事言うんですか……


一生懸命我慢してきたのに…どうして…」
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