解けない恋の魔法
パーティの魔法
***

 日曜日。誘われていたパーティ当日になった。
 迷ったけれど私はいつものスーツで最上梨子デザイン事務所を訪れた。
 どのみちドレスに着替えるのだから律儀にスーツじゃなくてもいいような気がしたけれど、仕事ではないとはいえ、私の中では少し仕事気分だ。

「朝日奈さん、今日もスーツなの?」

 よっぽどスーツが好きなんだね、って出迎えてくれた宮田さんがケラケラと笑うのは、この際無視だ。
 事務所は日曜だから業務は休みで、スタッフはもちろん誰もいない。
 照明もあまりついておらず、昼間でも薄っすらと暗い中、宮田さんの後に続いて、この前の衣裳部屋へと入っていく。

 パーティは夜からだけど、今日のスケジュールはこうだ。
 まずこの衣裳部屋で、ドレスに着替える。
 そして、宮田さんが予約してくれている美容室までタクシーで移動。
 そこで髪をセットし、メイクをしてもらったら、そこからパーティ会場までまたタクシーで移動、という予定になっている。

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