解けない恋の魔法
 そっと頬を撫でられ、彼の唇が私の唇へと優しく着地する。
 何度も角度を変え、貪るようにそのキスは続いた。

 ……宮田さん、ごめんなさい。

 ――― 私の罪は、許されますか?


 お互いの温度をたしかめ合うように深いキスを続けていると、部屋の入り口のドアがコンコンとノックされる音が聞こえてきて、それを機に宮田さんが私からそっと離れた。

「香西さんかな……? 邪魔しないで欲しいんだけどな」

 そう言って、宮田さんがふっと微笑む。

「とにかくシャワー浴びてて」

 それだけを言い残し、宮田さんはバスルームを出て行った。

 私はドロドロに汚れたドレスを脱いでシャワーを浴びる。
 私にとっても宮田さんにとっても特別なドレスなんだから、自分の家で出来る限り丁寧に洗ってみようと密かにそんなことを思った。


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