解けない恋の魔法
「許せないな……緋雪にこんな傷をつけるなんて」

「……え?」

「わかってるよ。……ハンナでしょ」

 突如ハンナさんの名前を出され、なんとなく視線を逸らした。
 たしかにハンナさんのせいと言われればその通りだ。
 彼女に体当たりされなければ、こんなことにはならなかったと思う。
 あの当たり方は絶対……わざとだったと思うから。

「ごめん。全部僕のせいだ」

「宮田さんの……せい?」

「飲み物を取りに行かされたのもわざとだったと思う。僕が途中で知り合いに話しかけられて、なかなか戻ってこれなかったからそれもまずかった。ハンナは僕があのドレスを着させないと言ったことが気に入らなかったんでしょ。プライドだけは高い人だからね」

 そう話しながらも、私の腕の傷に消毒薬がかけられた。
 深くもないし痛くもなかったのに、消毒薬の刺激で少し沁みる。

「緋雪は八つ当たりをされたんだよ」

 ……八つ当たり、ですか。


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