解けない恋の魔法

「私にこんな大事な秘密を言ってしまってよかったんですか?」

 たったひとつの条件、というくらいだもの。
 宮田さんにとってはきっと、誰にも知られたくない秘密のはずなのに。

 誰にも絶対他言しない! というのは今交わした口約束だ。
 秘密保持契約の書類にサインしていないのだから、保障なんてどこにもないのに。

「僕が朝日奈さんにこの秘密を黙ったまま仕事をするのは、きっと無理だと思ったんです」

 そう言って宮田さんが人懐っこい笑みを浮かべる。

「それに、朝日奈さんなら絶対に誰にも言わないでいてくれるだろうって」

「……へ?」

「最初にあの雑誌を見たときにそう感じた。まさか、その本人から仕事をオファーされるとは思っていなかったけど」

 う、うぅ……
 悔しいけど、部長の策略が、やっぱり少し役に立っている。

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